残響時間(セービンの式)計算
室容積と、壁・床・天井などの吸音(面積 × 吸音率)から、セービンの式で残響時間を求めます。目標の残響時間から、必要な総吸音力を求めることもできます。
残響時間とセービンの式
**残響時間(RT60)**は、音を止めてから、音圧レベルが 60 dB 下がるまでの時間です(解説資料 Wikipedia「Reverberation」)。部屋の容積と、部屋の吸音の量から、セービンの式で概算できます。
T60 = 0.161 × V ÷ A
- V:室容積(㎥)
- A:総吸音力(㎡。単位は sabin)
- 総吸音力 A = Σ(面積 × 吸音率)+ その他の吸音力
資料のセービンの式は、約 0.1611 s/m(20 ℃の音速から導いた値)を使っています。このツールは、広く使われる 0.161 を使います(差は約 0.06%です)。面積ごとの和(Σ)は、平均吸音率の定義から導いたこのツールの式で、資料には書かれていません。
吸音率について
吸音率は、0〜1 の数で、面に当たった音のうち、吸収される割合です。吸音率は周波数によって違い、通常は 125・250・500・1000・2000・4000 Hz のオクターブバンドごとに報告されます(資料)。そのため、総吸音力も、残響時間も、周波数で変わります。このツールの結果は、入力した吸音率の周波数帯での値です。複数の周波数帯の残響時間を知りたいときは、周波数帯ごとの吸音率で、別々に計算してください。
このツールは、材料ごとの吸音率の数値を載せていません(メーカーの資料の値を入力してください)。吸音率は 0〜1 の範囲で入力します。 残響室での測定値には、1 を超えるものがあるため(資料)、1 を超える値を使うときは、メーカーの資料と測り方を確認してください。
適用条件と限界
資料で確認できたこと:
- セービンの式は、吸音が多い小さな部屋で、残響時間を過大に予測する傾向があります。そのような部屋では、エイリングの式のほうが妥当です。
- この式は、部屋の形と、空気中の損失(大きな空間で重要)を考慮しません。
一般的な前提(資料では確認できていません):音が部屋の中で均一に広がる(拡散音場)ことを前提とした理想的な式です。実際の測定値とは、違うことがあります。 吸音が多い部屋ほど、誤差が大きくなります(具体的な基準の数値は、資料にないので示しません)。
音響設計の根拠・保証値にはなりません。 コンサートホールやスタジオの設計は、専門家や測定によって行ってください。
総吸音力が 0 のとき
総吸音力が 0(吸音の入力がすべて 0)のときは、式の分母が 0 になり、残響時間が無限大になるため、算出不可と表示します。
必要な総吸音力を求める
「必要な総吸音力を求める」は、室容積と目標の残響時間から、A = 0.161 × V ÷ 目標の残響時間 を求めます。必要な総吸音力までを計算するもので、その吸音力を、実際の部屋で実現できるか(平均の吸音率が 1 を超えないかなど)は、判定しません。 吸音が多い部屋では、セービンの式の誤差が大きくなります。目標の残響時間は、0 より大きく 1,000 秒以下で入力します。
計算例
| 入力 | 結果 |
|---|---|
| 室容積 100 ㎥・10 ㎡ × 0.5 + 30 ㎡ × 0.5(総吸音力 20 ㎡) | 約 0.81 秒(0.161 × 100 ÷ 20 = 0.805) |
| 室容積 100 ㎥・目標 0.8 秒 | 必要な総吸音力 20.125 ㎡ |
扱わないもの
エイリングの式・ミラーの式、空気の吸収、周波数ごとの自動計算、T20・T30 の測定、部屋の形・拡散の評価、材料の吸音率の一覧は扱いません。部屋の共振周波数は室内定在波・部屋の共振周波数計算、距離による音の減衰は音圧の距離減衰計算、音の波長は音の波長・周波数計算で求められます。
よくある質問
吸音率は、どこで調べますか?
吸音材・建材のメーカーの資料や、測定の報告に、周波数ごとの値が書かれています。ここでは、数値の目安は載せていません。
結果が、実際の部屋の残響時間と合いません。
セービンの式は、理想的な条件での概算です。部屋の形・音の広がり方・空気の吸収・吸音の偏りなどで、実際の値とは違います。
周波数ごとの残響時間を出すには?
使う周波数帯の吸音率で、そのたびに計算してください。