被写界深度・過焦点距離計算
焦点距離・F 値・撮影距離から、ピントが合って見える範囲(近点・遠点・被写界深度)と、過焦点距離を求めます。距離の図で、F 値による範囲の変化も確認できます。
距離のイメージ
軸は線形です。右端の「∞」は、有限の距離とは別の領域です。人物は、ピント位置を示す記号です。
距離のイメージの見方
結果の下の図は、カメラから被写体の方向への距離を、横の軸で表したものです。ピント位置(人物の記号)から、近点(手前の限界)と遠点(奥の限界)までが、ピントが合って見える範囲(帯)です。手前側(斜線)より、奥側のほうが広いことが、多くの条件で確認できます。
- 距離の軸は線形(距離と長さが比例)です。目盛りは、選んだ単位(m・cm・mm・ft)で表示します。軸の範囲は、帯が読みやすいように自動で決めます。左端が 0 でないときは、カメラを軸の外に描き、軸の左端を「//」で切って、軸の一部を省略していることを示します。
- F 値だけを変えている間は、軸を保持します。F 値のボタン(F1.4〜F22)を順に押すと、軸が動かないまま、絞るほど帯が伸びる様子が分かります。帯が軸に入らなくなる、または軸の幅の 10% 未満になったときだけ、軸を作り直します(作り直すときは、2 段絞ったときの帯も入る範囲にします)。焦点距離・撮影距離・許容錯乱円・単位を変えたときは、いつも作り直します。F 値は、ボタンのほかに、入力欄に自由に入力できます。
- 遠点が無限遠のとき(撮影距離が過焦点距離 H 以上のとき)は、図の右端の「∞」の領域まで帯を塗り、矢印で示します。「∞」の領域は、有限の距離の軸とは別で、同じ縮尺ではありません(軸は「//」で区切っています)。
- 被写界深度が極端に浅いとき(長い望遠・大きな絞りなど)は、帯が細くなります。帯の幅は実際の値のままで、拡大していません。近点・遠点の数値を、図と結果の表で読んでください。
- 人物は、ピント位置を示す記号です。大きさは、距離や被写体の大きさを表しません。
- 図は、結果の数値から描いた補助です。結果の表・コピーは、図がなくても使えます。
計算式
薄肉レンズの近似で、次の式を使います(f:焦点距離、N:F 値、c:許容錯乱円の直径、s:撮影距離)。
- 過焦点距離 H = f² ÷ (N × c) + f
- 近点 = s (H − f) ÷ (H + s − 2f)
- 遠点 = s (H − f) ÷ (H − s)(s が H より小さいとき。s が H 以上なら、遠点は無限遠)
- 被写界深度 = 遠点 − 近点
過焦点距離は、その距離にピントを合わせると、遠点がちょうど無限遠になる距離です。このとき、近点は H ÷ 2 になり、H ÷ 2 から無限遠までが、ピントが合って見える範囲になります。計算は分数で行うので、許容錯乱円を直接入力したときは、H ÷ 2 を含めて、内部では正確な値です(画面には有効数字 7 桁に丸めて表示するので、割り切れない値は「丸めた値」と表示します)。
過焦点距離の式(H = f² ÷ (N c) + f)は、解説資料(Wikipedia「Hyperfocal distance」)で確認しました。近点・遠点の式は、同じ資料群にそのままの形では書かれていなかったため、薄肉レンズで正確な錯乱円の関係式(Wikipedia「Circle of confusion」)を解いて導いたものです(s = H のとき、近点が H ÷ 2、遠点が無限遠になることを確かめています)。
許容錯乱円(c)の決め方
許容錯乱円は、「ピントが合っている」と見なせる、ぼけの大きさの限界です。規格で決まった値はなく、見る大きさ・見る距離・視力などで変わる慣習の値です。 このツールでは 2 通りで指定できます。
- センサーの大きさから:センサーの対角を係数 k で割ります。初期値は 対角 ÷ 1500(フルサイズ 36 × 24 mm で約 0.0289 mm)。1500 や 1730 は慣習的に使われる係数で、規格で決まった値ではありません。 1730 は「Zeiss の式」と呼ばれることがありますが、公式な出所はない、と解説資料に書かれています。
- 直接入力:許容錯乱円の直径を mm で入力します。
結果には、使った許容錯乱円を表示します。センサーの対角は平方根を含むため、対角が割り切れない大きさでは、結果は「丸めた値」です。
近似式の前提
- 薄肉レンズの近似です。実際のレンズは、設計や焦点調節の方式で、結果が少し違うことがあります。
- 撮影距離は、レンズ(厳密には入射瞳)からピントを合わせた被写体までです。カメラのセンサー面からではありません。
- 近接撮影(マクロ)の補正は扱いません。 被写体に近いほど、被写界深度は小さくなり、この式の精度は落ちます。
- 回折・収差・画像処理・画素の大きさは考慮しません。 被写界深度の「境界」は、ぼけが連続的に増える中の目安です。
- 近点・遠点で、同じ許容錯乱円を仮定しています。
- 撮影距離が焦点距離以下のとき(レンズの前に像が結ばない)は、計算できません。
計算例
| 入力 | 結果 |
|---|---|
| f = 50 mm・F8・許容錯乱円 0.03 mm | 過焦点距離 約 10.47 m(解説資料の例では約 10,467 mm) |
| 同じ条件で、撮影距離 5 m | 近点 約 3.39 m、遠点 約 9.53 m |
| 同じ条件で、撮影距離 H に合わせる | 近点 約 5.23 m(H ÷ 2)から無限遠まで |
よくある質問
絞ると被写界深度はどう変わりますか?
F 値を大きく(絞る)すると、過焦点距離が短くなり、被写界深度は広がります。焦点距離が長いほど、また撮影距離が近いほど、被写界深度は狭くなります。
被写界深度の結果が、レンズの距離目盛りと違うのはなぜですか?
許容錯乱円の仮定が違うためです。レンズの目盛りや、被写界深度表は、メーカーごとに別の基準で作られています。このツールは、使った許容錯乱円を結果に表示します。
画角の計算はできますか?
カメラ画角・撮影範囲計算や、35mm 換算焦点距離・クロップ係数を使ってください。露出の関係は露出値(EV)計算が使えます。