顧客生涯価値(LTV)概算
顧客 1 人あたりの平均売上(ARPU)・粗利率・解約率から、顧客生涯価値(LTV)を、簡易モデルで概算します。
計算式
- LTV = ARPU × 粗利率 ÷ 解約率
- 平均継続期間 = 1 ÷ 解約率(選んだ期間の単位。月次なら月数、年次なら年数)
- 1 期あたりの粗利 = ARPU × 粗利率
LTV は、1 期あたりの粗利に、平均継続期間を掛けたものです。ARPU は、顧客 1 人あたりの、その期間の平均売上です。解約率は、期首の顧客のうち、その期間中に解約した割合です。計算は、小数の誤差が出ない方法(分数)で行い、円未満を丸めるのは最後の 1 回だけです。
この式は、解説資料(Dodo Payments・renue)で紹介されている簡易モデルです。平均継続期間を、解約率の逆数で見積もる方法は、「毎期、同じ確率で解約する」と仮定した簡便な見積もりです。
月次と年次で、結果が違います
ARPU と解約率は、同じ期間でそろえて入力します。月次の ARPU と、年次の解約率を混ぜると、正しい LTV になりません。
また、同じ事業を、月次で計算した LTV と、年次で計算した LTV は、一致しません。この簡易式では、月次と年次で、解約率の扱いが違うためです。たとえば、次の例です。
- 月次:ARPU 10,000 円・粗利率 100%(空欄)・月次の解約率 5% → LTV = 10,000 ÷ 0.05 = 200,000 円(平均継続期間 20 か月)
- 年次:月次の解約率 5% を、年次の解約率に直すと、1 −(1 − 0.05)¹² = 約 45.96%。年次の ARPU は 10,000 × 12 = 120,000 円。LTV = 120,000 ÷ 0.4596 = 約 261,097 円(平均継続期間 約 2.18 年)
月次は「毎月 5% が解約する」と考え、年次は「1 年が終わるごとに 45.96% が解約する」と考えるので、顧客が 1 年のあいだに解約する時期の扱いが違い、年次のほうが大きくなります。どちらの期間で計算したかで、値が変わることを前提に、期間を選んで入力してください。月次と年次の解約率の換算は、解約率・継続率計算でできます。このツールは、期間をまたぐ自動換算をしません。
解約率が 0 のとき
解約率が 0% だと、平均継続期間(1 ÷ 解約率)が無限になり、LTV を求められません。このツールは「算出不可」と表示します。解約率は、0 より大きい値で入力してください。解約率 100% は計算できます(平均継続期間は 1 期で、LTV = 1 期あたりの粗利)。
粗利率について
粗利率を入力すると、粗利ベースの LTV になります。空欄のときは 100%(売上ベース)として計算し、結果に「売上ベース」と表示します。粗利率 0% なら、LTV は 0 円です。
計算例
- ARPU 10,000 円・粗利率 80%・月次の解約率 5% → 1 か月あたりの粗利 8,000 円、平均継続期間 20 か月、LTV 160,000 円
- ARPU 10,000 円・粗利率 空欄(売上ベース)・月次の解約率 2% → 平均継続期間 50 か月、LTV 500,000 円
- 解約率 100% → 平均継続期間 1 期、LTV = 1 期あたりの粗利
- 解約率 0% → 算出不可
概算の前提と、扱わないもの
- 毎期、同じ解約率が続く(解約の確率が一定)と仮定します。解約率が、契約してからの経過期間やプランで変わるときは、同じ時期に契約した顧客のグループ(コホート)の実績で見ます。
- ARPU・粗利率も一定と仮定します。将来の価値の割引(現在価値への換算)、復帰・休止、アップセル(拡張収益)は、含めません。
- 獲得コスト(CAC)や固定費を引いた純利益ではありません。LTV と CAC の比も、このツールでは扱いません。
- LTV は、顧客 1 人の収益性を考える材料です。高ければ事業全体が黒字になるとは限りません。
注意点
- ARPU は 0 以上の数(円。小数第 2 位まで)、粗利率・解約率は 0〜100%(小数第 2 位まで)で入力します。全角数字やカンマが入っていても自動で読み取ります。
- 継続課金の収益(MRR・ARR)はMRR・ARR 計算、売上に対する利益の割合は利益率計算で求められます。
出典と確認日
LTV の式と前提は、次の解説資料の本文で確認しました(2026年10月29日確認。公的な定義ではありません)。
LTV の定義や計算モデルは、会社・資料で違います。月次と年次で結果が変わることの説明は、このツールの式にもとづく説明です。
よくある質問
LTV は、どうやって計算しますか?
ARPU × 粗利率 ÷ 解約率 です。たとえば、ARPU 10,000 円・粗利率 80%・月次の解約率 5% なら、160,000 円です。
月次と年次で、結果が違うのはなぜですか?
簡易式では、月次の「毎月 5% が解約する」と、年次の「1 年ごとに約 45.96% が解約する」で、顧客が解約する時期の扱いが違うためです。同じ期間で ARPU と解約率をそろえて、どちらで計算したかを明記してください。
粗利率は、入力しなくてもよいですか?
空欄のときは、100%(売上ベース)として計算し、結果に「売上ベース」と表示します。
解約率が 0% だと、どうなりますか?
平均継続期間が無限になるので、算出不可です。0 より大きい値を入力してください。