RCフィルターのカットオフ周波数・時定数計算
抵抗 R とコンデンサー C から、1 次の RC フィルターのカットオフ周波数と時定数を求めます。目標のカットオフ周波数から、R または C を求めることもできます。
計算式
- 時定数 τ = R × C(R:Ω、C:F、τ:秒)
- カットオフ周波数 f_c = 1 ÷ (2π R C) = 1 ÷ (2π τ)(Hz)
- 逆算:C = 1 ÷ (2π f_c R)、R = 1 ÷ (2π f_c C)
ローパスフィルターも、ハイパスフィルターも、カットオフ周波数と時定数の式は同じです。 違いは、出力をどこからとるかです。
| 回路 | 出力をとる場所 | 働き |
|---|---|---|
| ローパス | コンデンサーの両端 | 高い周波数を減衰し、低い周波数を通す |
| ハイパス | 抵抗の両端 | 低い周波数を減衰し、高い周波数を通す |
この式と、出力の位置の説明は、解説資料(Wikipedia「RC circuit」「Low-pass filter」「High-pass filter」)で確認しました。
カットオフ周波数とは
カットオフ周波数は、フィルターが信号を元の電力の半分に減衰させる周波数です。そのとき、電圧のゲインは 1/√2(約 0.7 倍)、−3 dB になります。1 次のフィルターでは、カットオフ周波数より十分遠い領域で、周波数が 10 倍(1 decade)になるごとに、約 20 dB ずつ変化します(n 次のフィルターの傾きが 20n dB/decade であることからの値)。
前提と限界(必ず読んでください)
- この計算は、理想的な無負荷(信号源の抵抗が 0、出力に何もつないでいない)の 1 次の RC 回路を前提とします。 これは一般的な前提で、取得した資料に、この前提が明記されているわけではありません(資料には、フィルターをつなぐときは、インピーダンス整合と負荷を考慮する必要がある、とだけ書かれています)。
- 実際の回路では、信号源の抵抗や、つなぐ機器の入力抵抗(負荷)の影響で、カットオフ周波数が計算値と違います。
- 抵抗・コンデンサーの許容差、温度、周波数特性、標準値(E 系列)の選び方は扱いません。
円周率と「丸めた値」
カットオフ周波数と、逆算で求める C・R は、**円周率の近似値(小数 60 桁)で計算するので、「丸めた値」**です。時定数 τ = R × C は、円周率を使わず、正確な値です。
計算例
| 入力 | 結果 |
|---|---|
| R = 1 kΩ・C = 1 µF | 時定数 1 ms、カットオフ周波数 約 159.15 Hz |
| R = 10 kΩ・C = 100 nF | 時定数 1 ms、カットオフ周波数 約 159.15 Hz |
| 目標 1 kHz・R = 10 kΩ | C = 約 15.92 nF |
入力できる範囲
R は 0 より大きく 10¹² Ω 以下、C は 0 より大きく 10 F 以下、目標のカットオフ周波数は 0 より大きく 10¹² Hz 以下です(単位を換算した値で確かめます)。
電気の安全に関する注意
これは、低電圧の信号の回路の計算です。商用電源(コンセント)・高電圧・大きな電流は対象外です。感電・発熱・火災の危険があります。計算結果は、実際の回路の安全・動作を保証しません。
扱わないもの
RL・RLC・2 次以上のフィルター、アクティブフィルター、ゲイン・位相の計算、標準値(E 系列)への丸め、実部品の許容差、周波数応答のグラフは扱いません。電圧・電流・抵抗の関係はオームの法則・電力計算、周期と周波数の換算は周期・周波数換算、倍率と dB の換算はdB と電圧比・電力比の換算で求められます。
よくある質問
ローパスとハイパスで、計算を変える必要がありますか?
いいえ。カットオフ周波数と時定数の式は同じです。出力をコンデンサーの両端からとるとローパス、抵抗の両端からとるとハイパスです。
カットオフ周波数で、信号は完全に消えますか?
いいえ。カットオフ周波数は、電力が半分になる点(−3 dB)で、信号が消える周波数ではありません。
計算した値と、実際の回路の値が違います。
理想的な無負荷の回路の計算だからです。前後の機器の抵抗や、部品の許容差で変わります。